長期保有の実データ|上昇率だけでなく下落の深さを見る
「長期で持てば報われる」という話を、年別リターンとドローダウンの両方で確認します。回復に必要な上昇率の計算、生き残った銘柄だけを見る危険、そして日本の税制が…
半減期は約4年ごとに、ビットコインの新規発行量が半分になる仕組みです。2009年の50BTCから始まり、2012年、2016年、2020年、そして2024年4月の4回目で3.125BTCになりました。次回は2028年ごろと予測されています(半減期カウントダウン)。
「半減期の後は上がる」という説明は広く流通しています。この記事は、その主張がどこまで支えられているのかを分けて考えます。
標本が3件しかありません。2012年、2016年、2020年の半減期の後にはいずれも大きな上昇局面がありました。2024年4月の分は評価の途上です。3件で「法則」を主張するのは、統計としては無理があります。
同時期に別の要因がありました。2020年の半減期の前後は、世界的な金融緩和と、その後の機関投資家の参入という大きな変化があった時期です。2016年から2017年には初期のトークン発行ブームがありました。価格が上がった理由を半減期だけに帰属させることはできません。
既知のイベントは織り込まれます。市場参加者全員が日付を知っているイベントが、そのタイミングで価格を動かすと考えるのは、市場の基本的な性質と整合しません。実際、過去の半減期当日に大きな変動が起きたわけではありません。
供給の減少幅は回を追って小さくなります。1回目は年間の新規供給を大きく減らしましたが、すでに流通している枚数に対する比率で見ると、半減期1回の影響は小さくなり続けます。4回目以降、新規供給は既存流通量に対して1%未満の水準です。「供給ショック」という表現が持つ意味は、回を追って薄れていきます。
半減期の影響がもっとも直接的に現れるのはマイニング事業です。
この調整機構があるため、半減期でネットワークが停止することはありません。ただし、手数料収入の比率が長期的に上がっていく設計になっている点は、ネットワークの持続性をめぐる論点として残ります。
日本国内では電気料金が高く、個人の採掘はほぼ成立しません。半減期はさらにその条件を厳しくします。
「半減期の年は上がる」を検証したいなら、年別のリターンを見るのが出発点です。年別リターンのページには、ビットコインとイーサリアムの各年の騰落率と、下落の深さを同じ表で並べています。
そこで確認できるのは、上昇の年と下落の年が交互に来るような規則性ではなく、大きな上昇の翌年に大きな下落が来た例が複数あるという事実です。半減期の年だけを切り出して見ると、それが例外的だったのか通常だったのかを判断できません。
もう一つ、ドローダウンの列を見てください。80%下落した資産が元に戻るには5倍の上昇が必要です。「半減期の後に上がる」を前提に短期のレバレッジを取ると、方向が最終的に合っていても途中で清算される可能性があります。
ブロック高で決まるため日付は確定していませんが、2028年ごろと予測されています。半減期カウントダウンで現在のブロック高から推定した時期を表示しています。
当サイトは売買のタイミングを助言しません。この記事で述べたとおり、日付が既知のイベントについて「前に買えば有利」と考える根拠は薄いです。
ライトコインなど、同様の発行減少の仕組みを持つものがあります。ただしビットコイン以外では、そもそも流動性や採掘の規模が小さく、半減期の影響を価格から切り分けるのはさらに難しくなります。イーサリアムには半減期がなく、発行と焼却の差で供給が増減します。
供給の希少性から価格を予測するモデルとして知られていますが、モデルの前提と実際の価格が大きく乖離した局面があり、予測手法としての評価は定まっていません。当サイトでは価格予測モデルを推奨していません。
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