販売所と取引所、コストは何倍違うのか|実額で比較
国内取引所のアプリには、性質のまったく違う2つの売買方法が並んでいます。販売所と取引所(板取引)です。どちらも「ビットコインを買う」画面ですが、実質コストは桁が違います。そして販売所のほうが目立つ場所に置かれています。
この記事の数字は、各社が自社サイトで開示しているものだけを使います(2026年7月31日に確認)。
販売所は「手数料無料」でもコストがかかる
販売所は運営会社が売買の相手になる形式です。取引手数料は無料と書かれていることが多いのですが、買値と売値に差(スプレッド)が設定されていて、これが実質的な手数料になります。
この点をもっとも明確に開示しているのはCoincheckです。同社は手数料ページで、販売所の「手数料相当額」を0.1〜5.0%(一部の銘柄は2.0〜6.5%)としています。これは片道の数字なので、買って売れば往復でこの倍かかります。
他社も同様の構造ですが、率を明示していない場合が多く、その場合は画面の買値と売値を自分で見比べるしかありません。販売所の画面で買値と売値を並べて確認するのは、コストを知るための唯一確実な方法です。
取引所(板取引)の手数料
板取引は利用者同士が板で売買する形式で、手数料が率で明示されています。2026年7月31日に各社の公式ページで確認した水準(基準となる区分)は次のとおりです。
- bitbank|BTC/JPY はメイカー0.00%・テイカー0.10%。その他のJPY建てペアはメイカー−0.02%・テイカー0.12%。
- GMOコイン|取引所のBTC・ETH・XRP・DAI はメイカー−0.01%・テイカー0.05%。その他はメイカー−0.03%・テイカー0.09%。
- SBI VCトレード|メイカー−0.01%・テイカー0.05%。
- Coincheck|取引所の主要銘柄は0.000%。
- bitFlyer|かんたん取引所・Lightning現物が0.01〜0.15%(直近30日の取引量に応じて変動、10万円未満は0.15%)。
マイナスの数字は、メイカー(板に注文を置いて待つ側)が手数料を受け取ることを意味します。板に流動性を供給する行為が優遇されているためです。
10万円を買って売ったら、いくら消えるのか
10万円分のビットコインを買い、価格が動かないまますぐ売った場合に消える金額です。
- 販売所(スプレッド片道2%と仮定)|往復で約4%=約4,000円。Coincheckの開示レンジの中央付近を取った想定です。
- 販売所(片道0.5%の良好な条件)|往復1%=約1,000円。
- 板取引・テイカー往復(0.10%×2)|約200円。
- 板取引・メイカー往復(0.00%と−0.01%)|ほぼ0円、または受取。
差は10倍から20倍です。1回なら数千円ですが、月に数回売買すれば年間で数万円になります。積立のように毎月買う人ほど累積が効きます。
それでも販売所を使う理由があるか
あります。否定するための記事ではありません。
- 数百円〜数千円の練習|手数料の絶対額が小さいので、操作を覚える目的なら差は実質的に無視できます。
- 板取引で扱っていない銘柄|同じ取引所でも、板取引の対象は主要銘柄に限られることが多く、それ以外は販売所しか選択肢がありません。
- 板が薄い時間帯の小口|早朝や連休中は板が薄く、成行で入るとスリッページが出ます。ただしこれは指値注文で回避できます。
- 操作の簡単さ|板取引の画面は情報量が多く、慣れが必要です。誤発注のリスクと手数料差を天秤にかける段階なら、無理をしないほうがよい場合もあります。
板取引に移るときの実務
- 「取引所」タブを探す|アプリの初期画面は販売所であることが多く、板取引は別のタブか、Web版にしかない場合もあります。
- 指値注文から始める|価格を指定して板に置く注文です。メイカー手数料が適用され、想定より悪い価格で約定しません。
- 板の厚みを確認する|自分の注文額が板のどこまでを食うかを見ます。厚みが足りない銘柄では、金額を分割します。
- 約定しないことを許容する|指値は約定しない可能性があります。どうしても今買う必要があるなら成行ですが、その分のコストは払います。
よくある質問
「手数料無料」は嘘なのですか。
取引手数料という項目が0であることは事実です。ただしスプレッドという別の形でコストが発生します。Coincheckが「手数料相当額」という言葉で0.1〜5.0%を開示しているのは、この構造を説明したものです。
スプレッドはいつ広がりますか。
価格が急変している時間帯、流動性の薄い銘柄、早朝や連休中です。同じ銘柄でも時間帯によって差が出るため、注文前に画面で確認するしかありません。
手数料の安さだけで取引所を選んでよいですか。
いいえ。金融庁の登録があるか、扱っている銘柄、円の入出金手数料、送金の対応状況(トラベルルール)も実務に影響します。国内取引所の比較で各項目をまとめています。
この記事の数字はいつのものですか。
2026年7月31日に各社の公式ページで確認した、基準となる区分の料率です。手数料は改定されるため、実際に取引する前に公式ページで確認してください。
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