国内取引所から送金するときに詰まる場所|トラベルルールとネットワーク
国内取引所から暗号資産を送るとき、実際に問題になるのは手数料ではありません。送れるかどうかと正しいネットワークを選べているかです。この2点を外すと、資金が戻らないか、そもそも送信ボタンが押せません。
1. トラベルルール:送れない相手がある
トラベルルールは、暗号資産を業者間で移転する際に送付人・受取人の情報を通知することを求める国際基準(FATF)で、日本では2023年6月施行の改正資金決済法により制度化されています。
利用者から見た実際の影響はこうです。
- 送付先の取引所名を選択・入力する画面が出る
- 選択肢に相手の取引所がなければ、送付できない
- 対応状況は取引所ごと・通貨ごとに異なり、時期によって変わる
つまり「A社からB社に送れる」は一般化できません。送る前に、利用している取引所の対応状況ページで、相手先と通貨の組み合わせを確認してください。これを先にやらないと、資金を移してから送れないことに気づきます。
自分の個人ウォレットへの送付は、相手が業者ではないため扱いが異なりますが、業者側が「そのアドレスが本人のものである」ことの確認(所有証明)を求める場合があります。制度対応であり、拒否されているわけではありません。
2. ネットワークの選択:同じ通貨でも別の道がある
USDTのように複数のチェーンで発行されている通貨では、送付元と送付先で同じネットワークを選ぶ必要があります。イーサリアム(ERC-20)、Tron(TRC-20)、Solanaなど、選択肢が並びます。
ネットワークが違うと届きません。アドレスの形式が同じ場合(イーサリアム系のチェーン同士)は特に危険で、送信自体は成功したように見えて、受取側には現れません。
確認手順は単純です。
- 受取側の入金画面を先に開く
- そこで表示されているネットワーク名とアドレスをコピーする
- 送付側で同じネットワークを選ぶ
- アドレスを貼り付け、先頭と末尾の4文字を目で確認する
- 少額でテスト送金し、着金を確認してから残りを送る
手順4を省略しないでください。クリップボードのアドレスを書き換えるマルウェアが実在します。手順5は数百円のコストで、桁違いの事故を防ぎます。
3. 手数料と最小送付額
送付手数料は銘柄とネットワークで大きく変わり、混雑度によって変動するものもあります。国内取引所の送付手数料は各社の手数料ページに掲載されていますが、ネットワーク側の手数料(ガス代)が別に乗る場合と、取引所が固定額で吸収している場合があります。
最小送付額の設定もあります。少額のテスト送金をする際に、最小額を下回ると送信できません。
なお、bitbankは2026年7月31日時点でBTCの送付手数料を0.0006 BTCとしており、GMOコインとSBI VCトレードは送付(暗号資産の出庫)を無料としています(いずれも同日に各社公式ページで確認)。国内取引所の比較にまとめています。
4. 届かないときに何を見るか
- 送付側の履歴でトランザクションID(TxID)を確認する|これがなければ、まだネットワークに出ていません(取引所内で処理中か、審査待ち)。
- ブロックエクスプローラーでTxIDを検索する|承認回数と着金先アドレスがわかります。承認が進んでいれば、ネットワーク側の処理は完了しています。
- 着金先アドレスが自分の意図した先か照合する|違っていれば、送付先を誤っています。取り戻す手段は原則ありません。
- 正しいアドレスに着金しているのに残高が増えない|受取側の必要承認回数に達していないか、そのネットワークを受取側がサポートしていない可能性があります。ここで初めて取引所のサポートに連絡します。
この順序で調べると、「取引所の処理待ち」「送付先の誤り」「ネットワークの不一致」のどれなのかが切り分けられます。サポートに問い合わせる際もTxIDが必要です。
5. 送金が課税されるかどうか
自分の口座から自分のウォレットへ送るだけなら、所有者が変わらないので譲渡にはあたりません。ただし送付手数料として暗号資産を支払った場合、その手数料分の処理は記録しておいてください。送付先で交換や決済を行えば、その時点で損益が発生します(計算のやり方)。
よくある質問
送付先の取引所が選択肢にありません。
その組み合わせでは送付できません。対応が追加されるのを待つか、別の経路を検討することになります。対応状況は変わるため、利用している取引所の告知を確認してください。
間違ったネットワークで送ってしまいました。
アドレスの持ち主が同じで、そのチェーンの秘密鍵を自分で管理しているなら、そのチェーン上で回収できる可能性があります。取引所のアドレスに送った場合は、その取引所がそのチェーンをサポートしているかによります。いずれも保証はなく、まずTxIDを添えてサポートに問い合わせてください。
なぜ本人のウォレットでも確認を求められるのですか。
マネーロンダリング対策(AML)の要請によるものです。署名によるアドレス所有の証明や、ウォレット画面のスクリーンショットを求められる場合があります。
送金に何分かかりますか。
ネットワークの混雑と、受取側が要求する承認回数で決まります。ビットコインは1承認あたり約10分、イーサリアムはより短い間隔です。取引所側の内部処理でさらに時間がかかることもあります。
当サイトは情報提供のみを目的としており、特定の送金経路を推奨するものではありません。手数料と対応状況は変更されます。送付前に必ず各取引所の公式情報を確認してください。免責事項