銘柄: 18,090時価総額: 354.19兆円 1.4%24時間出来高: 9.44兆円BTC ドミナンス: 56.2%ETH: 10.0%恐怖・貪欲: 27 恐怖

暗号資産の確定申告:計算のやり方と必要な記録

暗号資産の確定申告でつまずくのは、税率ではなく利益の計算です。何度も買い増していると、売った分の買値をいくらとして扱うのかが自明ではありません。ここを機械的に処理できるようになれば、あとは金額を書くだけになります。

以下は2026年7月時点の制度にもとづく一般的な整理です。暗号資産の利益は原則として雑所得(総合課税)で、損益通算も繰越控除もできません。

1. 課税されるタイミングを洗い出す

最初にやるのはこれです。「売った」以外にも損益が確定する場面があります。

  • 暗号資産を売って円にした|いちばんわかりやすい形です。
  • 暗号資産で別の暗号資産を買った|手放した側の譲渡損益が確定します。円に戻していなくても課税対象です。DEXでの交換も同じです。
  • 暗号資産で商品やサービスを買った|決済に使った時点で譲渡として扱われます。
  • ステーキングや貸出しの報酬を受け取った|受領時点の時価が所得になります。その後売却すれば、そこからさらに損益が出ます。
  • エアドロップなどで無償取得した|取得時の時価で認識する扱いが基本です。値がついていない段階のものなど、判断が分かれる場合があります。

取引所からの出金(自分のウォレットへの送付)は、所有者が変わらないので課税事象ではありません。ただし送付手数料の扱いは記録しておいてください。

2. 取得価額の計算方法を選ぶ

同じ銘柄を複数回買っている場合、売った分の買値を決める方法が必要です。国税庁の公表資料では、個人が保有する暗号資産の評価方法として総平均法が原則とされ、移動平均法を用いる場合は届出が必要とされています。いったん選んだ方法は継続して適用するのが原則です。

違いを数字で見ます。年初に1BTCを400万円、年央に1BTCを800万円で買い、年末に1BTCを900万円で売ったとします。

  • 総平均法|その年に取得した分の平均単価は(400+800)÷2=600万円。所得は900−600=300万円
  • 移動平均法|売却時点の平均単価も同じく600万円なので、この例では結果は一致します。差が出るのは、売却後にさらに買い増した場合など、期中の順序が効くケースです。

年をまたぐと前年末の残高と単価を引き継ぐため、最初の年から一貫した記録がないと計算できません。これが記録を残す最大の理由です。

3. 必要経費に入るもの

売却額から差し引けるのは取得価額だけではありません。一般的に必要経費として認められやすいのは次のようなものです。

  • 取引手数料、送金手数料、ガス代
  • 取引のために直接必要と説明できる支出(計算ソフトの利用料など)

パソコンや通信費のように私的利用と混在するものは、按分の根拠を説明できる範囲にとどめるのが安全です。スプレッドは手数料として明示されないため、そもそも取得価額・売却額に織り込まれています(別途差し引くものではありません)。

4. 記録をどう集めるか

ここが実務の8割です。

  • 国内取引所|年間取引報告書が発行されます。毎年ダウンロードして保存してください。過去分がいつまでも取得できるとは限りません。
  • 海外取引所|取引履歴CSVを自分で落とします。サービス終了や口座凍結で取り出せなくなる例があります。
  • DeFi・DEX|報告書は存在しません。ブロックエクスプローラーで自分のアドレスの履歴を確認できますが、円換算の時価は自分で調べる必要があります。
  • ステーキング報酬|受領日ごとに数量と当時の時価を記録します。毎日付与されるサービスでは件数が膨大になるため、月次でまとめる運用が現実的です(根拠を残しておいてください)。

取引件数が多い場合、損益計算ソフトを使ったほうが確実です。ただしソフトが出した数字も前提の置き方で変わるため、計算方法(総平均法か移動平均法か)が自分の届出内容と一致しているかは必ず確認してください。

5. 税額のイメージ

雑所得は給与などと合算した課税所得に対する累進税率で課税されます。所得税は5〜45%、これに住民税10%が加わるため、最も高い区分では合計で約55%です。年収500万円の給与所得者が暗号資産で100万円の利益を出した場合、その100万円に対しては所得税・住民税あわせて概ね30%前後の負担になります(各種控除により変わります)。

株式の申告分離課税(20.315%)と混同しないでください。2025年12月に公表された2026年度税制改正大綱では20%の申告分離課税への移行方針が示されましたが、大綱は方針であって成立した制度ではなく、適用は2028年からと見込まれています。

よくある質問

含み益には課税されますか。

いいえ。保有しているだけでは課税されません。売却・交換・決済など、譲渡にあたる行為があった時点で損益が確定します。

1年間の取引が数千件あります。

損益計算ソフトの利用が現実的です。取引所ごとのCSVを取り込む形式が一般的で、対応取引所は事前に確認してください。件数が多い場合ほど、計算方法の一貫性が重要になります。

過去の申告を間違えていたことに気づきました。

修正申告や更正の請求という手続きがあります。放置するより早く対応したほうが負担が小さくなる制度設計になっています。税務署か税理士に相談してください。

取得価額がどうしてもわからない場合はどうなりますか。

合理的な方法で算定する必要があり、根拠のない数字を置くことはできません。記録が残っていないと不利になる可能性が高い、というのが実務上の答えです。

当サイトは情報提供のみを目的としており、税務助言を行いません。この記事は2026年7月時点の制度についての一般的な整理です。申告にあたっては国税庁の資料と税理士の確認を優先してください。税金と確定申告免責事項